防爆 / 2026.05.30
Column 02防爆エリアの点検DX ― ZONE区分と機器選定の基礎知識
可燃性ガスや粉じんを扱う現場では、機器の選定を誤れば重大事故につながります。点検DXを進めるうえで前提となる、ZONE区分と防爆機器選定の基礎を整理します。
化学プラントやガス設備には、可燃性の物質が漏れれば爆発の危険がある区域が存在します。こうした防爆エリアの点検を自動化・デジタル化するには、まず「その場所がどれだけ危険か」を示すZONE区分と、そこに持ち込める機器の条件を正しく理解することが出発点になります。本稿では、点検DXを検討する前提知識を一般的なレベルで整理します。
防爆エリアとは何か
防爆エリアとは、可燃性ガス・蒸気・粉じんが空気と混ざり、爆発性の雰囲気を形成しうる区域を指します。ここでは、電気機器のわずかな火花や表面の高温が着火源となり得ます。そのため、区域内で使用する機器は「点火源とならない」よう設計・認証された防爆機器であることが求められます。
ZONE区分の考え方(ZONE0/1/2)
ガスによる防爆エリアは、爆発性雰囲気が生じる頻度と持続時間に応じて、一般に次の三つに区分されます。区分の数字が小さいほど危険度は高く、より厳しい条件の機器が必要になります。
- ZONE0:爆発性雰囲気が通常状態で連続的・長時間にわたり存在する区域。もっとも危険度が高い。
- ZONE1:通常の運転状態で、爆発性雰囲気が生じる可能性がある区域。
- ZONE2:通常状態では爆発性雰囲気が生じにくく、生じても短時間にとどまる区域。
実際の区域がどのZONEに該当するかは、扱う物質・設備配置・換気条件などをもとに定められます。同じ工場内でも、タンク内部と屋外の配管まわりでは区分が異なるのが一般的です。
なぜ機器選定が重要なのか
防爆機器は、対象とするZONEやガスの種類(グループ)、発火温度に応じた温度等級などの条件を満たしている必要があります。ZONE1向けの区域にZONE2用の機器を持ち込む、といった選定の誤りは、そのまま重大事故のリスクに直結します。
点検DXにおいても同じです。「危険区域の点検を自動化したい」という要望に対し、どのZONEに、どの機器を、どの条件で設置するのか——この選定が、安全と運用の可否を分けます。導入効果を語る前に、まず適合性の確認が欠かせません。
点検DXに防爆機器をどう組み込むか
防爆エリアの点検を自動化・デジタル化する際は、区域の危険度に応じて機器を組み合わせます。代表的なアプローチは次の通りです。
- 防爆対応IoTカメラの据え置き:計器の前に防爆カメラを設置し、危険区域に人が近づかずに遠隔で計器を読み取る。
- タブレット等の防爆ケース:現場で使うモバイル端末を防爆ケースに収め、区域内でのデジタル点検・記録を安全に行う。
これにより、危険区域への立ち入り回数を抑えながら、点検頻度と記録品質を維持できます。人の安全と点検の継続性を両立させる点が、防爆エリアの点検DXの要諦です。
まとめ
防爆エリアの点検DXは、便利さの前に「安全に持ち込める機器かどうか」の判断が土台となります。ZONE区分を理解し、区域に適合した機器を選ぶこと。その前提が満たされてはじめて、自動化による省人化と安全性向上が現実のものになります。
※本稿はZONE区分と機器選定の基礎を一般的に解説するものです。実際の区域区分・機器の適合判断は、各設備の条件や関係法令に基づき、必ず有資格者・専門家にご相談ください。
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